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【プロフィール】
田戸 福次
略歴 板前暦40年(日本料理専門店、川魚料理店で修行) 有名料理店が並ぶ名古屋錦通りに、10年前「今福」を開店。 全国誌にも取上げられる人気で、田戸の職人芸の手料理はお客さんを引き付けて離しません。平日でも予約が必要なほどの繁盛店
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板前田戸の男の余裕
名古屋、食事処「今福」店主、板前田戸の第一印象は、その道を追及し続けてきた男の、落ち着きであり、余裕であった。
話す言葉の一つ一つに、内に秘めたこだわり、自信を感じさせるが、決して、嫌味ではない。
どれほどの修行が、彼に、このような澄んだ水のような、落ち着きを与えたのか。
彼は、どんな料理を作るのだろうか、なぜ、人を惹きつけるのだろうか。
そんな、疑問を、取材班はぶつけてみた。
二十歳の時に、今で言う脱サラをしてね。板前暦は、丁度40年かな
「最初は日本料理専門店や、川魚料理店、そう、うなぎとかのお店ね。その後、寿司店なんかで修行して、10年前、「今福」を名古屋で開店したんだ。」
さらりと語る「40年」の言葉に、決して重苦しい雰囲気や、気負いは無い。あるのはただ、積み重ねてきたことからくる、余裕なのだろう。
土鍋ご飯との出会い
「予約が入ったときなんかに、先に炊き込みご飯を作って、料理と料理の合間にちょっと盛って出すといいな。
お客さんが喜ぶねぇ」
そんな理由で、土鍋ご飯釜を使い始めた。
鍋のふたを開けたときの、ばあってあがって来る香りとか
こだわりは,愛知、三重、地元の食材を使って作ることかな。
名古屋の味 田戸の味
彼は、東京生まれ、京都で修行して、名古屋でお店を始めた。
京の薄味で修行した彼は、名古屋でどんな料理を作るのだろうか。
「基本は京料理のうす味。我々が作ると、うす味になる。うす味とこい味のぎりぎりのところ。土鍋ご飯には、そんな味付けをした」
味付けへのこだわりを語った後、彼はこういった
薄かったら、醤油を足したらいい
「それが、料理に対する知恵になるし、味付けなど、お客さんが考える余地のある製品がいい」
ぎりぎりの味付けをするこだわり。それをお客さんが、さらに変えていくことの楽しみ。
一見矛盾する彼の言葉には、自分は常に同じ味を出せるからこそ、そこに、お客さんの知恵を足して、食を楽しんで欲しい。
そんな気持ちがあるのではないだろうか。
そんな彼に、土鍋でご飯を炊くポイントを聞いてみた。
僕は失敗してもらいたいと思っている
「土鍋で炊くご飯の、火加減と水加減。お客さんにも勉強してもらいたい。失敗は、食を、もっと美味しく出来ると思えるようになるための、訓練なんだと思って欲しい」
"誰でも成功しますなんて、面白くもなんとも無い"
そう語る彼に、それでもなにか、素人さんが土鍋で上手に炊くポイントを聞いてみた。
「そうだねぇ なんと言ったらいいか・・・」
珍しく、口ごもる彼。素人が上手に炊く、そんな方法は無いのだろうか。
やっと、彼は口を開いてくれた。
「自分の中の中火を早くわかるようになって欲しい、
それがポイントかな。でもね、失敗してくださいよ。その中に、必ず次なる成功の道がある。僕らも失敗したから今がある」
「苦労と思えば、苦労になる。苦労と思わなければ、苦労にならない」
常に、新しい考え方を取り入れながら、道を追求し続けているからこそ、今がある。
彼は、料理の世界で和洋中の垣根が低くなったことを、とても喜んでいた。
「今は変わってきた。たとえば、日本料理のお皿、鮮やかな色の九谷焼なんかに料理を盛り付けるのは、とても難しい。そんなことを、今は洋食の世界の人が勉強している。我々も、勉強していかなければならない」
ふと出た、お皿の話。料理は味だけではない。
「日本料理には、見る感性、聞く感性、嗅覚の感性、そういったものが必要。てんぷら揚げるのでも、ボコボコ言うような音は無し。美味しいてんぷらは、ジュッ、スー、そんな、静かな音がする。その、色合い、熱さ、香り、日本料理は感性に訴える料理だと思っている。」
さまざまなこだわりの中で、一番のこだわりは、料理の素材である。
お水とお塩
「水は、天然水に近い物。昔ながらのミネラル豊富なお塩。日本のものでも外国のものでも使うよ。今は、天然のパウダーのお塩を使っている」
「これからお客さんも高年齢化してくるからね、いろいろな料理を出せるように目指している。その中で土鍋ご飯は、何にでもぴたりとあうね」
彼がこだわっている料理、それは、お客さんのための、料理である。
彼の料理が,人をひきつける理由を見たような気がした。
彼は最後に、取材班にこう語った。
食を楽しむ習慣を作ってもらいたい。
「食を楽しむというのはさ、たとえば、料理は、何かに盛らなければいけない。プラスチックでは、味も素っ気も無い。器は誰が作って、そこにどんなものを盛るのか、そんな話が出来る食文化を、これから次の世代に継承していって欲しい。。食べることを楽しむ習慣を作ってもらいたいなぁ、それが、僕ら、食に携わるものが、願うことだと思う」